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アスキーアート(AA)の文化|モナーとやる夫の時代
更新日:2026年10月19日
文字や記号を並べて、顔や動物、ときには大きな風景まで描いてしまうアスキーアート(AA)。平成のインターネット、特に匿名の掲示板では、AAが会話の一部として当たり前のように使われていました。このページでは、AAの成り立ちと、平成のネットで愛されたキャラクターたちを紹介します。
アスキーアートとは
アスキーアートは、文字だけで描かれた絵のことです。名前の「アスキー」は、英数字や記号を表すための古い文字の規格(ASCII)から来ています。もともとは英数字だけで描かれていましたが、日本では、ひらがなやカタカナ、漢字、全角の記号まで使った、細かく表情ゆたかなAAが発達しました。
短いものは、顔文字とほとんど区別がつきません。顔文字が1行の中で表情を表すのに対して、AAは何行にもわたって全身や風景を描くものが多い、という違いがあります。顔文字の成り立ちは顔文字の歴史で紹介しています。
掲示板で生まれたキャラクター
AAが大きく広まったのは、1999年に開設された匿名掲示板「2ちゃんねる」でした。書き込みの返事として、言葉の代わりにAAを貼ることで、皮肉や冗談、驚きなどを表現する文化が生まれます。そこから、たくさんのAAのキャラクターが誕生しました。
- モナー:猫のような姿をしたキャラクター。「オマエモナー(お前もな)」という返しのセリフと一緒に使われ、AAの代表的な存在になりました。
- ギコ猫:少しやさぐれた雰囲気の猫。強い口調のツッコミのときによく登場しました。
- しょぼーん:「(´・ω・`)」の顔で知られる、しょんぼりしたキャラクター。今でも顔文字として使われています。
- やる夫とやらない夫:のちに登場した丸い顔のキャラクターたち。たくさんのAAを並べて物語を作る「やる夫スレ」の主役として人気を集めました。
AAで描かれた物語
AAは、一枚の絵として使われるだけでなく、何十、何百ものAAを並べて、マンガのように物語を描くことにも使われました。やる夫を主人公にした物語では、歴史の解説や、仕事の体験談、長編の創作など、さまざまなジャンルの作品が作られています。文字だけで、キャラクターの表情や動きを描き分けるのは、まさに職人技でした。
また、2004年には、掲示板の書き込みから生まれた「電車男」の物語が書籍化され、その後ドラマや映画にもなりました。物語の中には掲示板のAAがそのまま登場し、多くの人がAAの文化を知るきっかけになりました。
AAがずれてしまう理由
掲示板のAAは、当時のWindowsで標準だった「MS Pゴシック」という書体で見ることを前提に作られていました。この書体は、文字ごとに幅が少しずつ違う「プロポーショナルフォント」で、AA職人たちは文字の微妙な幅の違いを計算しながら、スペースや記号を組み合わせて絵を描いていたのです。
そのため、スマホやMacなど、違う書体で表示すると、文字の幅が変わってAAが大きく崩れてしまいます。AAを正しく見るための専用の書体が作られたこともありました。文字の幅の違いについては全角と半角の違いと使い分けでも紹介しています。
今のアスキーアート
スマホが主流になり、画像やスタンプで気軽に気持ちを伝えられるようになった今、大きなAAを見かける機会は減りました。それでも、「(´・ω・`)」のような短いAAは顔文字として残っていますし、SNSでは今でもちょっとしたAAが使われることがあります。
文字だけで絵を描くという発想は、記号を組み合わせてひらがなを表すギャル文字や、行の頭の文字にメッセージを隠す縦読みとも通じるところがあります。どれも、限られた文字の中で遊び心を発揮した、平成のネット文化の名残です。